それでもワインが飲みたい

土日更新の脱力定期ワイン便です

Chorey-Les-Beaune 2019(Tollot-Beaut)


ショレイ レ ボーヌ(トロボー)

自分の事ではないのですが、市場から払底してきているので、後出しジャンケンにならない程度にさっさと書いてしまいますが、この作り手、多くの人にとってはブルゴーニュブランとコルトンシャルルマーニュが素晴らしい、飲みたい、保有したいだと思うのですが、19のこの赤に関しては凄い品質を作っていると思います。
飲まれた方は既にリピートしながらも市場全体としてはまだあまり気づいていないようですが昨年の10月終わりくらいから同時多発的に起こった最も早い震源地は当方の知るところ2か所あり、1人は中野の中華のオヤジ様、1人は北日本のワイン屋のオヤジ様。2人とも御年70を超える方だと思われるのですが、まさに激動の昭和を乗り越えてきた古参の矜持此処に有りをまざまざと感じてしまいました。

赤に少しのアンバーを垂らしたような液体からは菫、赤い濡れた果実、ピンクと赤の薔薇、小梅、ダージリンや香木のニュアンス、少しのグリーンノートが入るものの邪魔はせず、香りに冷涼感もあります。何かが突出して香るということではなく一つ一つの香りは小粒ながら品よく重なりあって結果、纏まりあって優しく歌ってくる感じでしょうか。時間が経った方が現状香りのまとまりは良いです。品温がかなり低いのにこの香りの立ち上がりは凄い。味も透明度があり抽出も無理をしている感じはなくpure。酸とミネラルと果実のバランスが良く、何より旨味ののりかたは特筆するものがあります。余韻もクラスとしては丸みを帯びて長く続くきます。変に危うい事はしていないので確実にいい熟成もしそうです。
何故か既視感があります。探って行ってもアペラシオンや作り手ではどうやらないと言うのが自身の結論。
どちらかと言うとワインを飲み始めた頃に秀逸なピノノワールと出会って飲んだ時の感動のような、驚きのような。
このワインには二律背反があるのだと思います。トーンが高めなのに少しの高揚感と落ち着きを与え、初めて飲むのにどこか懐かしくなぜか新鮮。
2日目、3日目と全く落ちるどころか少しの黒みがトッピングされ集中力とエネルギーが増していく感じなので開けて微妙だと思ったら少し時間を置いて楽しむのがいいかもしれません。
とにかく飲めばご当主の笑顔のような楽しくなるワインです。