それでもワインが飲みたい

土日更新の脱力定期ワイン便です

Savigny-Les-Beaune Les Planchots2017(Decelle &fils)


サヴィニー レ ボーヌ レ プランショ(ドゥセル)

普通に飲んでいけばわかるのですが、ブルゴーニュは博打要素が多すぎます。VT、作り手の力量、畑の個性、それらの相性からボトル差まで。
かつて寺山修司が競馬について書いた本で"俺たちが欲しいのは予想ではなく理想だ"というようなこが書かれていたのですがこの言葉などワインの熟成に当てはまりそうです。
これは将来良くなりそうだー、などと思ってワイン会で威勢よくあけてみたら絶賛スカスカで絶句からの気絶。笑 
自分の思っていた理想郷は廃墟だったという幻想の呆気ない裏切りに合った事があるのは当方だけではないはず。
このなんとか滑り込んで手に入れた作り手。飲み込んでいる方々が ChambolleはおろかBeauneをも激賞してしまえばねぇ、、、瞬間蒸発するってもんです。

香りはサワーチェリー、木苺、強くないベリーなど、ミドルからハイトーンの赤系果実そのものに赤い薔薇、うっすらと煙。繊細ながら緻密。注ぎたては品のいい香りがグラスの外まで一瞬溢れ出てきます。
味わいはミネラルの硬質感と張りを感じさせながら、赤系果実、ローズヒップ、そこに綺麗な酸が縦型の楕円形を描きながら伸びていきます。余韻は意識をすれば長く感じます。笑 途中香りが七変化を起こし閉じたり、いきなり赤い薔薇が咲いたりするので少し難しい時期に開けてしまったのかも知れませんが、十分良さを楽しめます。VTの影響か強くないですし、果実の強さはあくまで中庸。ブルゴーニュらしい瑞々しさがなんとも心地いいです。このcuvée はクラシカル路線でナチュールではなくピュア。2日目は芳香性は変わらず赤系の突き抜けた感じがより出てきた印象。ただ、香りは更にバランスが取れてもう一段突き抜けそうな気はします。妙な話、現状複雑すぎないのが良いですし、ワインと対峙してしまうこともないながら美味いワイン飲んでいるな〜という気にもさせてくれるので久々に会う友人とこんなワインを飲めたら良い時間を過ごせそうです。

明日何が起きるか完璧にわかったら明日生きる楽しみがないようにワインの熟成が全てわかってしまってもきっと面白くないものでしょう。賭博の情感が"驚き"にあるようにある程度きちんと飲んでいけばワインに1番必要な情感も"予定調和の満足感"ではなく"想定外の驚き"にあると思っています。(ただし妙なナチュールの仰天は除く)
不確定要素をもろとも受け入れた時にこの豊かで複雑な生とワインライフを楽しむ事が出来るのかもしれません。(と思ってないとやってられないだけ笑)

にほんブログ村 酒ブログへ
にほんブログ村