それでもワインが飲みたい

土日更新の脱力定期ワイン便です

Bourgogne Pinot noir 2012(Bachelet)


ブルゴーニュ ピノノワール(ドニ バシュレ)

これはどこで見たかー、レヴィ=ストロースの言葉だったと思うのですが、「正常な思考は常に意味されるものの欠如に悩むのに対して、いわゆる病的な思考は、ー少なくとも発現のある場合においてー意味するものの過多を利用する」と読んだ事があります。かなり意味深長な言葉だと思うのですが独断で拡大解釈すると、例えば夜空に浮かぶ星はただの点に過ぎませんが、それを線で結ぶと星座になるといったところでしょうか。staticから躍動感のあるdynamicへの変換。
全てのワインにおいても(ここではブルゴーニュにおいて)、可能であれば様々な優秀な作り手、VT、秀逸なクリマなどを飲み込んで自分なりにマッピングして星座を描きたい思うのですが、ここまで価格が高いと最早無理。グランクリュはおろか1級もmultipleで飲めず当方含め多くの人がスケールの大きいおおぐま座を描けず苦心または、キラキラsnsで他人様が弩級のワイン開け散らかしているのを見て嫉妬気味に自分を悲観 笑 となりそうですが果たしてそれは正しいのか。この作り手、しかも実直に作られた広域を飲んで少し考えさせられました。

香りはスーボワ、タバコの葉、マッシュルーム、檜、黒糖、そこに赤系果実。まだ若さすらあり熟したニュアンスからくるブーケは感じられません。
味わいもエキス主体ながら丹精で均整がとれていて中心にコア感まではないものの中心が黒系から外側に向かってグラデーションを描くように透明感のある赤系果実になっていくイメージを受けます。
ただ香りだけならー、もしブラインドで出されたらモレサンドニと言ってしまう感じで、これは2日目もほとんど変わりはありませんでした。以前飲んだ15VTとは趣が違いますがどちらも水準は高いと思います。

確かにおおぐま座は描けないかもしれないー、しかしながら広域とはいえこの様なワイン飲み込んでいけば(人それぞれ好きなワインを飲めば良いのですが)おおぐま座の腰から尻尾に当たる北斗七星は描けるかもしれません。いや、自分が飲んでいる偏向したワインライフでは最大限描けて全天星座の中で1番小さいみなみじゅうじ座がいいところでしょうか。それでも星座のスケールで優劣やヒエラルキーが決まらない様に(好き嫌いはあるかもしれませんが)もし小さくても自分なりに線を結ぶことができればそれはそれで素晴らしい事だと思います。
銀河系グランクリュ星団は尊く眩しいですが、広域星団も輝いています。

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